久しぶりに 僕は、お母さんが運転する車に乗って、大好きな事務所に来ました。
僕の名前は 「モコ」です。コーギー犬で、今年で七歳になったばかりです。
ご主人様は、弁護士で、その事務所、横浜シルク法律事務所に来ています。
お仕事の場所だから 静かに 静かに
久しぶりの事務所に あっちこっち クンクン
いろいろなにおいが するよ
空気は ピーンとしていて 気持ちいいなあ
おとなしく 座っていよう
いい気持ちだなあ
目が重いよう
ウトウト ウトウト
僕のご主人様と、お母さんと、事務員さんの声が 遠くから聞こえてくる感じがしました。
そのうちに、「裁判員制度」という言葉が 聞こえてきました。前に、家で、ご主人様と、お母さんが話していたので、僕の知っている言葉です。
お母さんの声です。
「裁判員制度がいよいよスタートしたけれど、仕事に 影響があるの?」
「5月21日から、起訴された重大事件について 裁判員制度で行うようになっているから、今までの事件については 影響はないけれど。ひとつ、起訴されている事件で、裁判所から、集中審理で行うことになった事件があるけれど。」
「どういうこと?」
「事前に、証拠の開示を求めて、弁護士も検察官と同じように、証拠を見て、準備をし、二週間ぐらいの間に、裁判を終えることになっているけれど、その間は、他に時間がさけないし、短期間にできる利点はあるけれど、大変ではあるよ。また、すべての証拠の開示を求めることができるので、利点ではあるけれど。」
「検察庁に行って、たくさんの証拠を謄写したのが、その事件ですね。」
「厚さが30センチ近くの書類のコピーだから、手がかかったね。」
「大事な書類だから、止めてあるのをはずすことができないから、厚い書類を、一枚一枚コピーすることになるので、時間がかかるね。」
「お金を出して頼むこともできるけれど、お金はかかるし、今は混んでいて、出来上がるまでに、二週間はかかるということだから、急ぐときには、仕方がないですね。」
「事務所のように、はずしてコピーすれば、簡単だけどね。」
「今は、その証拠を調べて、準備の段階だけど、始まったら、戦争のようになるかな。」
「S弁護士と二人で、取り組むけれど、お互いに、いい勉強になるな。」
「裁判員制度になったときにはこの証拠の準備がとても大事になるし、大変なことだな。」
「一年間で裁判員になる確率は約5000人に1人ということだから、そのうちにまわってきてもおかしくはないけれど。裁判員になるのも大変かもしれないけれど、弁護士も大変ですね。」
「模擬裁判に参加して、どうでしたか。」
「裁判員制度での模擬裁判に参加したけれど いろいろ考えさせられたわ。」
うんうん 僕 知ってるよ。
お母さんが 家で 話していたから。
裁判官が裁判官の役を 検事が検事の役を 弁護士が弁護士の役をそして 被告人、被害者の家族などの役もあってお母さんが 被告人のお母さん役をしたんだよね。
裁判員には 企業の人から 6人が選ばれていて交通事故で 死なせてしまった事件だよね。
本当の裁判みたいだけど 本当の裁判ではなく、勉強のための裁判だよね。
模擬裁判だって 言ってたよ。
裁判官も検事も、そして弁護士も、みんな勉強しているんだね。
事務員さんが その時のことをさかんに聞いていました。
「6人も裁判員がいて、どこに座ることになるのですか。」
「正面の裁判官の横に6人が座っていたからちょうど9人の裁判官がいるみたいだったけれど。」
「被害者の家族も 参加できるんですよね。」
「法廷の柵の中でちょうど検事の横にいて、被害者の家族と被害者支援の弁護士がいたわ。」
「被害者支援の弁護士は 何をするんですか」
「被害者の家族が聞いて欲しいことなど、事前に打ち合わせをしていて、家族の代わりに被告人や証人に質問していたわ。」
「検事のようですね。」
「パワーポイントで分かりやすく証拠の説明をしていたけれど、大事な争点をはっきりするためには必要になりますね。」
「これからは、弁護士も大変ですね。」
「裁判員に選ばれた人も、三日間にわたり、なれない法廷で、模擬裁判とはいえ、大変だったと思うわ。」
「今までの裁判は、見えにくかったけれど、これからは、国民の司法参加ということで、いろいろと理解してもらえるのは、いいけれど。問題点もたくさんあるようね。」
「他の国では、どうなっているのかな。」
「アメリカでは、すべての証拠は開示しなければいけないことになっている。
日本では、自白をしたかしないかという、警察での取り調べが問題になるけれど、アメリカでは、法廷での証言が中心で、陪審員が、有罪か無罪かを決めることになっている。
日本では、裁判員が裁判官と一緒になって有罪か無罪かを決め、また刑の重さも決めることになるので、そこが違うかな。
ドイツでは、被害者支援の組織がしっかりしていて、裁判に参加するよりも、主に、被害者の人たちの心のケアーを大事にしているのが、特徴かな。」
とても 難しそうだなあ
でも
悪いことをしたか していないか
悪いことをしたら 反省しているか していないか
悪いことが 今後 起こらないようにするには
どうしたら
どうしたら
大事なことだから
みんなで 考えるんだね
うん 僕たちも 考えたらいいかな
リリイちゃんは よく吠えているよね
悲しそうに 吠えているよね
僕には わかるよ
怒られているんだよ
リリイちゃんは そんなに悪くないと
僕は 思うけれど
よくは わからないけれど
そうだ
セブン君が 裁判官になって
アトム君が 検事になって
僕が 弁護士になって
聞いてあげれたらいいなあ
アトム君は いけないことはいけないと
厳しく 言うことができるし
僕は うんうんと 何でも聞いてあげれるし
優しい僕だよ
セブン君は いつもみんなをよくみているよ
きちんと 判断してくれるよ
そして
リリイちゃんの悪いところは なおして
家族も 考えてもらえて
悲しい声で 泣かなくなるといいね
そうできたら いいなあ
(横浜シルク法律事務所 高橋事務員記)






