モコの弁護士ウォッチング

休日の会議

「今日は土曜日だから、モコも一緒に事務所に行く?」
と、僕のお母さんが言いました。
「もちろん。もちろん。」
と、僕は、急いで、急いで玄関に行きました。

僕は、大河内家の犬で、五歳です。僕は、いろいろなものに興味があり、知らない人でも、僕に関心をみせてくれたら、喜んでしまうように、人が大好きです。僕と同じ犬は、顔なじみの犬とは、一緒に散歩したり、遊んだりするのが、大好きです。でも、僕に向かって、怖そうな顔をしたりする犬や、知らない犬は、どうしていいか分かりません。僕は、すぐに
「ワン。ワン。」
と、ほえます。
「僕は、強いからね。強いからね。」
という気持ちをこめて、そして、
「本当は、友達になりたいけれど。どうかなー。」
という気持ちもこめて
「ワン。ワン。」
と、ほえます。

でも、ある時は、
「こわいよー。キャーン。キャーン。」
と、ある時は、
「僕と友達になってよ。クウーン。クウーン。」
と、なります。

ご主人様の事務所は、シルクセンターの中にあります。横浜港の大桟橋入り口にあるシルクセンターです。この建物は、番地が、山下町一番地でもわかるように、歴史のある地に、建てられています。また、横浜が開港し、貿易としてシルクを扱った場所でもあります。それを記念して、シルク博物館が、このシルクセンターの二階にあります。

事務所は3階で、窓からはキング(神奈川県庁の塔)・クィ-ン(税関の塔)や、ランドマークタワーなどが見えます。これらの景色は昼間もきれいですが、夜景は何倍も美しく輝いています。

自動車に乗って、シルクセンター前の駐車場に着きました。僕はエレベーターに乗って、3階に行きました。エレベーターの箱は、動くので、僕は両足に力を入れて乗ります。僕はウェリッシュ・コーギーで、足が短いのが特徴です。この短い足は、大地に、力をこめることができるので自慢に思っています。エレベーターとは、その大地が動くので、余計に力をこめなければなりません。

シルクセンターの中は、平日と違って静かです。電話もあまり鳴らないし、来客もありません。この静かな日が、弁護団会議の日となります。医療事故で難しい事件などは、何人かの弁護士で取り組みますし、無実を訴えている殺人事件なども、チームを組んで取り組みます。裁判所でも、一人の裁判官が審理する事件と、合議と言われる三人で取り組む事件があります。また、検察官は、一人が多いのですが、一人だけで取り組むというより、検察庁にもどり、体制を組んで考え方針を決めています。無実の人を誤って有罪にすることがあってはいけないので、三者が、慎重に審理を進めます。このように、弁護士もチームを組んで取り組みますが、刑事事件などで、最高裁判所までいくような弁護士の数は、限られているようです。周防監督の「僕は それでもやってない」という映画にあるように、刑事事件を敬遠する弁護士もいるようです。イギリスなどでは、法廷に出る弁護士と、そうでない弁護士がいるそうです。あるイギリス人が、ご主人様を見て、「ロイヤー」といって、弁護士の中の弁護士という感じで話していました。組織体制のある裁判官や検事と違って、弁護士は、個人の場合が多く、弁護士がチームを組んで取り組むとなると、休みの日が、会議日となります。

ご主人様とチームを組んでいる弁護士の先生が来ました。
「モコですか」
と、僕の名前を知っていて、頭をなでてくれました。僕は、初めて会うのに、うれしかったです。僕のチャームポイントである、尻尾の無いお尻を、左右に振り、うれしさを表現しました。
また、弁護士の先生が見えました。
僕は、うれしくて、興味深々なのに、直ぐに話を始めてしまいました。パソコンの画面を見ながら、何か難しい話をしたり、黒板に何か書きながら、難しい話をしたりしています。僕は、興味があるので、椅子の下にもぐったり、黒板のそばに行ったり、ウロウロしていました。でも、邪魔をしてはいけないので、声は出しません。

最高裁判所にいっている事件ということで、みんなは、とても真剣です。

一つの罪のために
こんなに真剣なの
一人の人のために
こんなに真剣なの
日本の裁判制度のために
こんなに真剣なの
被害者のために
こんなに真剣なの
世の中の平和のために
こんなに真剣なの

僕たち動物をいじめる人もいるよ
僕たち動物を虐待する罪もあるよ

そのときにも
こんなに真剣になってね

お願いね
お願いね

(横浜シルク法律事務所 高橋事務員記)

弁護士ウォッチングが本になりました!